5月の星空 (2)
こんばんは。
先の長さにビビりつつ、今日も星座を紹介したいと思います。
※先の長い星座一覧表は、こちらです…。
今夜の名古屋はぼんやり霞がかったような空でした。月も朧な感じ。
(ちなみに今日の月齢は11.8。明後日が満月です)
それでも、こんな日でも、土星と春の大三角は見つけられました。
街中なら、長時間夜空を眺めていてもそれほど冷えない季節になってきましたね。時々見上げてみるとゆったり落ち着く気持ちになれるかもしれません。
さて、先日うみへび座をご紹介しました。(あ、先日どころか約1か月前だった…)
全天で一番大きな星座なのですが、その背中の上に小さな星座が三つ並んでいるんです。今日はその三つをご紹介しようと思います。
まず一つ目。春の大三角の一つ、しし座を見つけたら、その下のうみへび座まで視線を動かします。その途中にあるのが、ろくぶんぎ座です。
一番明るい星でも5等星なので、街中では見えなそうです。
こんな姿らしいんですけどね。
この星座、天文学者ヘベリウスが17世紀につくった星座なのですが、その理由がかなり脱力です。星の並びから六分儀(星の高度や各距離を測る道具で、天文学者や船乗りが使っていたものなんですって)の形を想像するのはかなり無理矢理な感じしません?それもそのはず、この星座、別に「星の並びが六分儀に似ているなあ」と作られたわけじゃないんです。あるときヘベリウスの家が火事になって、大切にしていた六分儀を失ってしまった。そのため、愛機の思い出にと、この星座を作ったのだとか。…そんなんで作っていいなら、やっぱり「くまぼぼ座」作ってしまおうかしら。
続いて、うみへびの尾側です。こちらも暗い星ばかりですが、見つけるのは意外と簡単。からす座です。
4等級の比較的暗い星ばかりですが、近くに星が少ないので、見つけやすいです。今の季節なら夜8時ごろに真南に見えているのでチャンスかも。
以前にご紹介した、春の大曲線から探してみましょう。北の空で北斗七星を見つけたら、柄をその曲がり具合に沿って先に伸ばしていきます。するとオレンジ色の明るい星(うしかい座のアークトゥルス)、純白の明るい星(おとめ座のスピカ)を通って、4個の星が形作る小さな台形にぶつかります。これがからす座、春の大曲線の終点です。
こんな姿。
ただ、ギリシア神話によると、これはカラス自体の姿ではなく、暗黒の夜空に黒いカラスを張り付けている銀の釘の姿なんですって。実は昔のカラスは純白だったのだとか。このカラス、音楽の神アポロンに離れて住んでいる妻の様子を伝える役目をしていたのですが、ある時おつかいをサボって道草をしていて遅くなってしまったので、アポロンに嘘の言い訳をします。(嘘の内容は諸説あるのですが「妻の浮気を見てしまって」とか、よりによって何でそんな罪の重い嘘をつくんだ、という内容…)で結局嘘がばれて、激怒したアポロンに「お前なんか真っ黒になってしまえ!」と黒くされた上に、空に張り付けられてしまうのでした。
最後は、ろくぶんぎ座とからす座の間にある星座ですが、これがまた暗い(笑)。コップ座です。
からす座の隣をじっくり見てみると、この星座図通りの星の並びを発見できます。一度だけ見つけたことがあるのですが、「同じだ、コップだ!」と感動しました。
コップといっても、絵はこちら。クラテルと呼ばれる、古代ギリシア時代の混酒器(お酒と水を混ぜる器)です。
ギリシア神話によると、これは、お酒の神ディオニュッソスの杯なんですって。今調べたら、神話悲しいです…。ディオニュッソスはアテネに立ち寄った時、イカリオス王にとても親切にされました。そこで、お酒の作り方を教えて、この杯もプレゼントします。王はさっそく酒を作って国民に与えましたが、初めて酒を飲んで酔っ払った国民は、毒を飲まされたと勘違いして、怒って王を殺してしまったのです。ディオニュッソスは、王を気の毒に思い、王の記念に杯を星座に上げたのだと言います。
ああ、悲しい…。
今日は目立たない星座ばかりの紹介になりましたが、こんな暗い星座でもそれぞれにストーリーがあるんですよね。勝手に愛しくなってきました。
それでは明日もいい一日を!
« きんせあにょす | トップページ | 沖縄、いちごいちえ (56) »
コメント