とくべつな夏
親子丼を作ったよ。見た目がどうしてもいまいち…なんでだ?苦悩。
今日まで「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていた「福島の特別な夏」がとてもよかった。
福島県の甲子園予選を追いかける、というところから始まった連載は、ライター永田さん自身の想いも超えて、よりひろく、よりふかく、広がっていく。
そこには「こうでしなければ」という窮屈な想いはなかった。ただ、突き動かされるように進む世界。
今までまったく知らなかった甲子園のこと諸々を追っているだけでもワクワクするし、泣けてきてしまう。そこに、否応なしに絡まる「フクシマ」特有の問題。
そのうち、永田さんはご自分でも思ってもみなかった方向に進み始める。
リアルタイムでずっと読んでいてよかった、と思う一方で、誰かと分かち合いたかった気持ちもあって。ああ、第一回から読んでいる人と感想を語り合いたい…。誰かいないかなあ。
目に留まった言葉を、いくつか拾い集めてみた。
(以下、引用)
**
福島について、考えることは難しい。
それでも、考えるのをやめることが
いちばんよくないことだと思った。
福島について、考えなくちゃいけないと思っていた。
といっても、それはぜんぜん義務じゃない。
ぼくは、福島について、考えたかった。
考えたかったけど、うまく考えられなかった。
**
ぼくは、福島の高校野球を取材するにあたって、
非常にささやかで個人的な目標をもっている。
それは、じつに情けない目標だけど、
「できるだけ泣くまい」ということだ。
**
ぼくは甲子園において初出場の公立校などが
初出場で旋風を巻き起こす、
というような現象が大好きであるが、
その一方で、優勝候補の強豪校が、
プレッシャーや他校の包囲網をものともせず、
さすがの完成度で勝ち上がることも大好きである。
**
震災の影響について質問したところ、
驚くような答えが返ってきた。
「いちばん怖いのはね、
震災があったからこそ、
ぼくらは今年勝たなきゃいけないっていうふうに
震災を利用して傲慢になることです。
おそらく、取材も増えるだろうし、
変な言い方ですが、同情もかうでしょう。
その勢いにあやかるのは許せない」
**
「おいで」
それは、いろんな物語のなかで
女の人が動物を切なく呼ぶ、あの声とおんなじだった。
**
ここでスコアブックをつけていたぼくは
ちょっといらいらする。
なにかというと、ボールペンが出なくなったのだ。
わざわざうそは書かないから信じてほしいんだけど、
この歳内くんの1アウトのところで
黒いインクが出なくなって、
ぼくはやむなく青いインクで
スコアブックを書きはじめる。
わざわざうそは書かないから信じてほしいんだけど、
青いインクで書きはじめたその瞬間から、
聖光学院の反撃がはじまる。
**
そう、残り時間という概念のない
野球という競技では、
最後の最後まで勝利を願うことができる。
「奇跡」とも呼びたくない。
あくまでも、「勝利」を、
終わるその直前まで、
観るぼくらは願うことができる。
ぼくが、野球という競技を好きな理由のひとつである。
**
完全に他人事みたいにしていえば、
律する編集者としての視点より、
まだちょっと書いておきたいことがあるという
現場からのわがままな声のほうに力があるみたいだ。
**
きっと、考えているだけではだめだし、
考えることをあきらめてもだめなのだろう。
**
言われてみれば、ぼくらはとっくに実感している。
「たのしい」がコアにないものは、
たいてい、弱いか、続かないか、どちらかだ。
**
(引用終わり)
今こうやって引用していると改めて涙が出そうだけど、永田さんの真似をして、何とかこらえてみる。
自分にできることが何なのかはわからないけれど、着地点を決めずにできること、心惹かれることをただやり続けよう。「たのしい」と感じることを。
素敵な連載、本当にありがとうございました。
明日も幸せである様に♪
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