【本棚から一冊】日の名残り
あたらしい空。
(マンネリは得意技っ)
久しぶりに、中日寄席に行ってきた。
いつも本当に素晴らしい落語を見せてくださる方がいて、楽しみにしているんだ。
一方的に話をされている感じがまったくないの。自分も一緒に場を作っている感覚。
「間」の取り方(と教えてくださった方、ありがとうございます!)、視線の向け方、要素は色々あるのだろうけれど、一緒にあたたかい気持ちになれるその秘訣、少しでも学べたらなあ。
今年はもっとたくさん行こうっと。
あたらしい月。
満月前日。冬の満月は、月天心(つきてんしん)とも呼ばれる。天の中心を通っていく月。白い月。
明日の月は、忘れられないものになるのかもしれない。
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反省したので、本紹介(笑)今年の1冊目は、こちらでした。
『日の名残り』
カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳
早川書房
この本、大学の頃に課題として読んでいた。(ブッカー賞の本を読む、という講義だった)
そのころにもずいぶん衝撃を受けた記憶があるのだけれど、それから約10年。ちょっと内容がうろ覚え気味になっていた…というのに、なぜかある方にこの本をお勧めしてしまっていて。今更だけど、読み直してみることにしたのだ。
舞台は戦後のイギリス。老執事スティーブンスが主人公だ。長年仕えたダーリントン卿は亡くなり、その家はアメリカ人の実業家が買い取っている。スティーブンスは現在、そのアメリカ人に仕えながらも、ダーリントン卿とともに過ごした古き良き時代を懐かしく思っている。あるとき、スティーブンスは短い旅に出ることになる。
美しい田園風景と、どこまでも優しい思い出たち。
桟橋の色つき電球が点燈し、私の後ろの群集がその瞬間に大きな歓声をあげました。いま、海上の空がようやく薄い赤色に変わったばかりで、日の光はまだ十分に残っております。しかし、三十分ほど前からこの桟橋に集まりはじめた人々は、みな、早く夜のとばりがおりることを待ち望んでいるかのようです。先ほどの人物の主張には、やはり、幾分かの真実が含まれているのかもしれません。しばらく前までこのベンチにすわり、私と奇妙な問答を交わしていったその男は、私に向かい、夕方こそ一日でいちばんいい時間だ、と断言したのです。
どこまでも、どこまでも優しい物語。
年を取れば、できないことが増えていく。思い出は美しくコーティングされる。どんなに切ない、辛い思い出でも。
でも、「夕方こそ一日でいちばんいい時間」なのだ。傷ついても、悲しんでも、ありのままに受け止めて、少しでも前を向けるように。
ちなみに大学生の時、原文も読んだのだけれど、めちゃめちゃ難しかった。。ちょっと怖いけど、再挑戦してみようかなあ。
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今日ふと思いついてツイッターに書いたことを、改めてメモ。
誰かの強いところを見ると、羨望する。頼もしく思う。弱いところをみると、愛おしくなる。強い人、弱い人がいるわけじゃない。新たな面をもっと見たい。どんな姿でも大丈夫だから。
そんな気持ちで、せめて大切な人とは接していたい。大切な人だけでも、ありのまま受け止めたい。私は大丈夫だよ。
明日も幸せである様に♪
昨日はありがとうございました! と言っても昨日は私が落語をしたわけじゃないですが…(笑)
今年はたくさん来て頂けそうなので、私も頑張ります! それにしても、色んな本を読んでらっしゃいますねえ…
投稿: 写碌 | 2012年1月 9日 (月) 11時39分
いえいえ、昨日も大役お疲れ様でした!
はい、今年ははりきります♪色々教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします!
面白い本が好きなだけなので、ジャンルはほとんど気にならないんですよねえ…その結果、節操のない感じに^^;
写碌さんのように一つの世界を追求される方にこそ、憧れます~
投稿: くまぼぼ | 2012年1月 9日 (月) 14時17分