あたらしい空。今日はぬくぬくしちゃうくらいあったかかったねえ。
しらすご飯を食べたよ。
さて、「覚悟をもって」とか言っていたわりにあっさり読み終わってしまった本の話。
表紙の真ん中の金色は、当時の硬貨。著者の塩野さんが趣味で集めているという、時代ごとの硬貨が43巻分載っている。
古代ローマでは、為政者が変わるごとに新たな硬貨を発行した。それが市民に対するパフォーマンスにもなったからだ。というわけで、この硬貨を並べるだけで、かなりのところまで歴史を読み解くことができるのである。
ここで注目してほしいのは、写真ではわかりにくい通貨の素材価値ではなく、これならば写真でも一目瞭然な、通貨の鋳造技術の変遷である。
なるほど。というわけで、ローマの歴史8世紀分の通貨を載せてみた。私は思わず「うわっ」と言ってしまったよ。
紀元前3世紀。ヤヌス神を描いた銅貨。この頃は、神様をモチーフにしたものが多かった。すでにずいぶん精巧。
紀元前1世紀。カエサルを描いた銀貨。この後帝政に入ると、皇帝の顔をモチーフにしたものになっていく。頬の皺までくっきり。
紀元後1世紀。ヴェスパシアヌス帝を描いた金貨。動乱期だったけれど、鋳造技術はしっかりしている。
紀元後2世紀。ハドリアヌス帝を描いた金貨。まさに「五賢帝」時代のさなか。髪の毛1本まで、服の皺1つまで丁寧に書かれている。ちなみにこの頃から、皇帝もひげを伸ばし始めるんですね。
…と、この辺りまでは高い鋳造技術が感じられる硬貨が続く。
ところが、一気に時代が下って紀元後4世紀になると。
えっ…と言いたくなるくらいの稚拙な絵。首太い…。
こちらはコンスタンティヌス帝の金貨。ほら、キリスト教を国教として認めて「大帝」の名前で呼ばれる皇帝です。世界史の授業なんかだと、まだあの頃には国力ありそうに見えるのに、技術面ではもうこんなに劣化が進んでいるのだ。
そして、衝撃の滅亡直前。
もう、子供の落書きですか、というくらい。5世紀。
こちらが最後の皇帝、ロムルス・アウグストゥス。名前もすごいけど(ロムルスというのは伝説上の最初の王の名前、アウグストゥスというのは帝政最初の皇帝の名前。名前からまとめに入らなくても…)、この硬貨ときたら、なんだかもう悲しくなってくる。こんな技術じゃ、そりゃゴート族の攻撃もしのげるはずがないよねえ。
ちなみに、西ローマ帝国滅亡後も存続した東ローマ帝国だって、状況は大して変わらない。
こちらが6世紀のユスティニアヌス帝を描いた硬貨。 この皇帝の時代に東ローマ帝国は領土を最大にしている。それでも技術といえばこのくらい。
…時代が過ぎるにつれて鋳造技術のほうも発達する、というものではないことがわかってもらえるだろう。そしてこの一事は、時代が進めば人間も進化するとはかぎらない、ということも実証しているのである。
そうなんだなあ。「時代が進めば人間も進化するとはかぎらない」というのは常々言い聞かせていることではあるけれど、こうやって物で示されるとはっきり痛感する。
この技術の低下って、当時の人にもわかっていたのかしら。その場にいても、俯瞰してみて、「貨幣が明らかに稚拙になっているなあ」って感じられるものなんだろうか。それはそのまま、今の時代の自分にそれができるのか、という問いなんだけど。「技術が海外に流出している」「日本が誇る技術が低下している」というニュース、今感じている以上に危険な信号なのかもしれない。
とはいえ、話題を社会全般に広げるのは苦手なので、身近なところに引き寄せちゃう。
せめて自分自身に対しては、上がっているときと下がっているときの両方を俯瞰して見られるようにしたいなあ。本当に、俯瞰する目が欲しい。(引き寄せすぎ?)
本当は、内容に関しても思うところがたくさんあるんだけど、うまく書けないでいます。43巻を費やして書かないと伝えられないこと、43巻を通して読まないと理解できないことってやっぱりあって。うっかりまとめるということが、いつも以上にできない。でも少しでも書きたいなあ。こんなに時間をかけて読んだ本って初めてなんだもの。少しずつ考えてみようと思います。
明日も幸せである様に♪
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