【本カフェ】錦繍
こんな時間(22時半)から食べちゃうのよ。
結局今日は曇り。金星と月の並びは見られなかった。何だか、私が紹介した天文イベント、ことごとく天気悪い気がする…。
宮本輝『錦繍』。
半年近く前、おもてなし朗読会の後で某M様に薦めていただいたのでした。
宮本輝さんは『青が散る』しか読んだことがなくて、これが2冊目。
夕べ読み終わったのだけれど、まだぼんやりしている。もう一度読み返した方がいいのかも。
10年前に離婚した二人が偶然再会して、手紙のやりとりを始める。お互いの過去を手紙の中で明かしながら、二人は次第に現在、そして未来へと向かっていく。
「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれへん」という言葉。
何度も出てくる「業」という言葉。
二人(特に男)が見ているのは、いつも過去だ。過去の「業」が今の不幸を生み出している、と二人は考えている。そこが、困惑してしまうくらい今の自分と同じで、逆に共感できなくなるくらい。
でも、最後に女は言うのだ。
過去なんて、もうどうしようもない、過ぎ去った事柄にしか過ぎません。でも厳然と過去は生きていて、今日の自分を作っている。けれども、過去と未来のあいだに<いま>というものが介在していることを、私もあなたも、すっかり気がつかずにいたような気がしてなりません。
簡単に「いい小説だった」と言いたくない気持ち。しばらく体育座りでもしながら考え込もうと思います。
ところで、「錦繍」は、錦に刺繍をほどこした織物のこと。転じて美しい紅葉や、美しい文章のことも指すのだとか。なんで「錦繍」っていうタイトルなのかしら。蔵王の紅葉から話が始まるから?往復書簡の中で物語が紡がれる様子を刺繍になぞらえているから?調べたらどこかに答えがありそうだけど、あえて自分の中で思い描くだけにする。
素敵な本を紹介してくださってありがとうございました。
明日も幸せである様に♪
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