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2012年5月 8日 (火)

5月の星空【金環日食のはなし①】

…というわけで、前ふりばかりでちっとも紹介していない「金環日食」。今日こそ!
長いので(たぶん)2回に分けます。今日のテーマは「日食の基礎知識」です。
(画像などは名古屋市科学館HPのものを使わせていただきました。快諾いただき、ありがとうございます)

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日食も月食も、仕組みはよく似ています。太陽、月、地球が一直線上に並んだときに起きる天文現象なのです。
太陽と地球の間に月が入って、月の影が地球に落ちる=太陽が見えなくなるのが日食、月が地球を挟んで太陽の反対側に行って、地球の影に月が入る=月が見えなくなるのが月食です。

ですから、日食は必ず新月のときに、月食は必ず満月のときに起きます。
でも、↑の図を見ると、まるで月が地球の周りを1回り(公転)すれば、必ず日食や月食が起きてしまうように見えますよね。毎月日食と月食?もちろん、そんなことはありません。

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月が公転する軌道は実際にはこのように傾いているので、図の左や右の位置にあるときには日食や月食は起きません。中央の上下にあるときだけ起きる、とても珍しい現象なのです。

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さらに、月の公転軌道は楕円なので、地球に近いときと遠いときがあります(先日のスーパームーンも、このために起きるわけです)。
上の図では、月が地球の近くにあります。月の影の焦点が地球に落ちていますね。このような場合は、月が太陽をすべて隠してくれて、皆既日食となります。空は夜に近いくらい暗くなり、少し寒くなるそうです。普段は見えていない太陽のコロナを観察することもできます。
下の図では、月が地球から遠く離れています。この場合、月の影は地球までたどり着かず、見かけ上太陽の方が月より大きくなる=太陽全体を隠しきることができなくなります。そのため、月(黒く見えています)の周囲に太陽の橋がはみ出して環を描いて見えます。これが金環日食です。金環日食では、空はほとんど暗くなりません。「あれ?」とうっすら感じる程度であるようです。

※余談。ということは、この間の満月がスーパームーンだったということは、楕円軌道の地球に近い側が満月=地球から遠い側が新月になるわけで。その新月の日に起きる日食は、そりゃあ金環日食になりますよねえ。当たり前なんですが、妙に納得してしまいました。

さて、その金環日食が見られるのは5月21日の朝。

20秒たつと動き始め、西から順番に欠けていきます。
赤い2本の線で囲まれた範囲内が、金環日食となる地域です。その外側では部分日食となりますが、これも面白いみたいです。沖縄などの動きに注目してみてください。最大のところで、欠けている側が右から左にひょいっと変わるんですよ。面白そう。
中心線のところが、もっとも長く金環日食が見られるところ。東京、静岡辺りはいいですね。それでも、金環日食となる時間は5分程度です。わが街名古屋は3分くらい。このチャンスを逃さずに眺めたいですね。というのも…

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こんなふうに全国的に日食を楽しめるのは、非常にまれなことだからです。
次の金環日食は2030年、北海道のみです。その次は2041年で、こちらは中部地方が中心(いえーい)。皆既日食はというと、2035年に北関東のあたりで見ることができます。いやあ、気の長い話です。
(なにせ、前回名古屋で金環日食が見られたのは1080年。932年前…!関東地方は173年前の1839年ですって。時間の規模が違う)
ほんっとうに、晴れますように!

では、次回は観測の仕方についてお話したいと思います。事前にやっておくと楽しいこともあるので、できるだけ早めにアップしますねー。
②金環日食の観測方法
③日食の撮影

明日も幸せである様に♪

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