マルチバース、なのか
だいぶ前にちらっとブログにも書いていたこの本、あまりに面白くてすぐに読んでしまった(まま放置していた)。
ポイントは「宇宙は無数にあるのか」という疑問文。実は著者の佐藤教授自身も、この問いへの答えを出しかねている、というよりも、どちらかというとこの説自体には批判的だ。というのも、この説は往々にして「人間原理」と結びついているからだ。
…しかし、これらの謎よりはるかに大きな謎は、「この宇宙を支配する物理法則があたかも生命、認識主体となる人類を生むように、都合よく微調整されている」ことではないだろうか。
これを説明する理論として人間原理が提唱されている。「宇宙は無数に存在し、物理法則はそれぞれの宇宙で異なる。その中で、認識主体が生まれる宇宙のみが認識される。他の宇宙は認識されない。したがって、認識された宇宙は認識主体が生まれるようにあたかもデザインされたように見える」というものである。…
私自身は、…四半世紀前に人間原理を知ったとき、これはとうてい科学ではない、と強い嫌悪感を覚えたものである。物理学者のはしくれとして「論理を詰めて研究を進めるならば、私たちは未定定数をいっさい含まない究極の統一理論に達するはずだ」「そもそも、物理法則の美しさから考えても、物理法則はでたらめにさいころを振って決まっているようないい加減なものではなく、確かな原理で確定的に決まっているものだ」と信じていた。
にもかかわらず、著者自身が提唱した「インフレーション理論」を突き詰めると、宇宙はひとつではないという結論につながってしまった。間違いではないかと計算し直しても変わらない。そこで、嫌悪感をいったんおいて、この理論を冷静に検討する。その結果と「マルチバース」の歴史を口述でまとめたのが、この本。内容はもちろん、その姿勢自体が科学なんだよねえ。
宇宙のこと、もっと知りたいなあ。科学者の全力を、もっと知りたい。
というわけで、ここで突然お知らせです。
今週の土曜日、名古屋の中日文化センターで「神山天文台長が語る、彗星の科学」という講演があります。天文関係で近頃何かとお世話になっている京都虹工房様の天文企画です。
https://www.chunichi-culture.com/programs/program_156393.html
彗星って調べるとすごく色々なことが分かるらしいですね。最新の発見についてなどのお話のようです。私は残念ながら行けないのですが、ご興味ある方いらっしゃれば、ぜひ!
明日も幸せである様に♪
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