奇跡の時間(2)
前にも書いたかもしれないけれど。
以前に見た山本昌さんを特集した番組(「仕事の流儀」)で、彼がアイク生原さんから学んだこと、という話があった。
ある日、山本さんは登板したものの連打を浴びてノーアウト満塁の大ピンチを作ってしまう。
マウンドに駆け寄ったアイクさんに対して、彼は思わずこう言った。
「すみません」
アイクさんは、そんな山本さんを怒鳴りつけた。
「何を言っているんだ。まだ終わっていないだろう」
その言葉で山本さんは気づく。そうだ、まだ何も終わっていない。
山本さんは結局、ノーアウト満塁のピンチを無失点で切り抜けた。
そしてこの言葉は、その後の彼の野球人生をずっと支え続けることになる。
けがをしたとき、40歳を過ぎて2勝しかできなかったとき、40代後半のシーズンで6月を過ぎても2軍から抜けられなかったとき。
もうダメかもと思うことなら、何度でもあった。
それでも、諦めそうになったとき、いつもこの言葉を思い出した。まだ、終わっていない。
確か同じ番組で、「心技体のどれを維持するのが一番大変ですか」という質問があった。
「体」と即答した山本さんは、理由を話してから最後に付け加えた。「心なんて気持ち一つでどうにでもなるんだから、一番最後でいいんじゃないですか」
強い人だと思った。最初に心が崩壊する私にとっては信じられない言葉だとさえ思った。
でも、と今になって思う。
言い聞かせていたのかもしれない。「終わっていない」という言葉とともに、彼はずっと自分を励ましていたのかもしれない、と。
ああ、語りすぎ。話を先に進めます。
岩瀬投手から花束を受け取る。ああ、岩瀬、泣いている。ついでに浅尾も泣いている(写真撮り損ねた)。
谷繁監督、鈴木孝政OB会長からも花束を受け取って、
誰だろうと思った最後の方は、なんと鳥取ワールドウィングエンタープライズの小山さん。
思わず抱き合う2人。(もうこの辺りでくまぼぼの涙腺は完全に崩壊しています)
続いてスピーチ。
私の野球人生は 苦しいときに誰かが手を差し伸べてくれました。
膝の手術をした時はもう無理かなと思いましたが、ワールドウイングの小山先生によってもう一度やり直すことができました。歴代の監督、コーチ、球団スタッフ、裏方さん、先輩たち、後輩たち、家族、友人たち、 そしてファンの皆様にいつも助けて頂きました。
本当に幸せな野球人生だったと思います。私は昨年で引退をしましたが、野球をしっかり勉強して、いつの日かまたユニホームを着て戻ってきたい(ここで球場全体から拍手)と思ってます。その時は山本昌広をご声援のほどよろしくお願いいたします。
(中日ドラゴンズ公式サイトより引用。全文はこちら)
胴上げ。
そしてドアラとグラウンド1周。
どの写真もひどいけど、載せちゃう。
そして山本さんがレフトスタンドに近づいたとき、奇跡の瞬間がやってきた。
残ってくれていたヤクルトの応援団が、太鼓を打ち始める。そして
や・ま・も・と、ま・さ!!
や・ま・も・と、ま・さ!!
(川端慎吾のリズムで)
何度も繰り返される山本コール。
なにこれ。泣くしかないでしょ。なんていいチームなんだ。愛してるー!
奇跡の時間は、あの場にいた全員が作ってくれたんだ。
「世界で一番幸せな野球人生だった」と話した山本さんだったから、最後まで幸せな時間だったんだ。
山本昌さん、本当に、本当にありがとうございました。同じ時代に生きることができて、私こそ幸せでした。
***
2回に分けてよかった…後半だけでこんな長さになるとは。
実はこの後、侍ジャパンの強化試合も見ているのですが、書けるかな。。(魂離脱)
明日も幸せである様に♪
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