長野星空体験

2015年1月21日 (水)

数百万年前への旅(6)

地震はしばらく続いた。

私と同年代の東海3県生まれ東海3県育ちの人はほとんどそうだと思うけど、くまぼぼ、震度3を超える地震を経験したことがない。阪神大震災も東北大震災もどちらも、名古屋では震度3だったのだ。
そしてこの日長野県北部で震度6弱を記録した地震も、私がいた木曽福島では震度3だった。ちょっとびっくりするくらいの地震。しかし、私としては史上最大地震(タイ)なので割と真剣にテンパっていた。
真っ暗な中でガタガタ揺れる山。しかも手の届きそうな位置に御嶽が見える。これが原因で噴火なんてしたら…ぎゃー!

でも、その場にいる他の人たちはさすがに強かった。
「結構続いてますねー。あははー」
「望遠鏡は守らねば」「そっか、私のカメラも大丈夫かな」
誰も、少なくとも表面には動揺を見せずに揺れが治まるのを待っている。なんとなく私も心が落ち着いてきた。
そして、長いとはいっても1分は揺れていなかっただろうなあという揺れが治まったところで、なんとなく皆食堂に戻り始める。ニュースが気になったのも大きかったけれど、そもそも予定よりだいぶ長い間外で星を見ていたのだ。本当は21時くらいから親睦会をしましょう、と言っていたはずなのに、あらまあもう23時近い時間。
すっかり遅くなっちゃったけど、ニュースを見がてら親睦会を始めましょうか。

つづく

明日も幸せである様に♪

2015年1月 8日 (木)

数百万年前への旅(5)

色々話を書いて引き延ばそうと思っていたけれど、全然書けないまま詳細を忘れそうなので、ここでいっきにクライマックス行きます!

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どーーーーん!

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これぞ満天の星空。

【(ここまで)写真提供:アストロアカデミア様】

どこを見ても雲どころかガスすらない。見渡す限り、抜けるように透き通った空。そして星。天の川。流れ星!

そう、この日の流れ星はすごかった。大きいものや小さいものも合わせて、何十個も見てしまった。大きな流星群のない時期のはずなのに、何事かしら。
最初に外に出た時点では西の空に夏の大三角が見えていたのに、しばらくしたら東側を中心に冬の星座がにぎやか。秋にきちんと星を見に来るなんて初めてだったけれど、何とも贅沢な季節だったらしい。

カメラを持ってきて撮影に入る人、持参の望遠鏡で色々な星雲星団を入れて見せてくださる人、双眼鏡でも見える星雲を教えてくださる人、ととてもにぎやか。あまりにも天気が良すぎて、少しでいったん戻る予定だったのが誰も部屋に戻れない。あれもこれもしたい。何をしても幸せ。
なんだかおなか一杯になってしまって、少し皆さんから離れて1人で空を見上げてみた。柱に寄りかかって、しばらく空を眺める。

そういえば、今見ているのは過去の世界なんだよねと思い出した。数百年、数千年前に発された光が、長い時間をかけて今私の目に飛び込んでいる。今見ているのは、何千年も前の光、何千年も前の世界。
いや、それどころか、さっきは望遠鏡でアンドロメダ銀河だって見てしまった(というか肉眼でも見えます)。アンドロメダ銀河までの距離は239万年。つまり今見ている光は239万年前のもの。
そんな果てしない距離のアンドロメダ銀河は、天文学の世界では「お隣の銀河」。40億年もすれば私たちのいる天の川銀河とぶつかって合体するといわれている。それくらい近所の天体だ。……それくらいって何でしょうね。

天文の話には、普段見たこともないような大きさの数がごく日常的に出てくる。私は前後10日くらいのことでいつも悩まされているというのに、簡単に40億年。239万光年が近所という世界。
星を見ると、あまり目の前のことにむぎゅむぎゅしても仕方ないんだなと思う。天文の規模から見たら、私の一生なんて瞬き程の長さもないんだから。その一方で、瞬きの時間だからこそ、目いっぱい悩んで懸命に生きたいなあとも思うんだけど。
その結果出来上がったのが、「超絶くよくよしいな反面、相当楽観的」なくまぼぼという人間ということですね…。脱線。

ずっと夜空を見ていると自分が見ているのが上なのか下なのかわからなくなってくる。宇宙の中にぽっかりと浮かんでいる感覚。足元がふわふわしてこの世じゃないような気分になってくる。
すっかり自分の妄想の世界に入り込んでいたから、その音に気付いたのは一瞬後だった。携帯電話から鳴る、けたたましい音。

「地震速報だ!」

誰かが声を上げる。ようやく周りに意識を向けると、たしかに他の人の携帯電話からも同じ音が鳴り響いていた。

地震?
頭を整理する間もなく、足元がグラグラと動く。
そして、さらに下から突き上げられるような感覚。
そう、この日は長野県北部を震度5弱の地震が襲った日だった。

つづく

明日も幸せである様に♪

2014年12月24日 (水)

数百万年前への旅(4)

ちょうど前回の記事のコメントでもいただいていたのですが、この時に何度も話題に上ったのが『木曽オリオン』というドラマ。
「あのドラマでもこういうシーンあったよね!」「この場所、ドラマと一緒!」などと周辺ではおおいに盛り上がる。ドラマ見ていないのです…しょんぼり。

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ざっと見る限りではDVDも出ていない様子。うう、残念。
施設内のあらゆるところにドラマの雰囲気が出ていたらしいのですが、私にはそれがどこなのかさえわからないので、自由に書き続けます…。

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彗星がちりをまきちらかす様子。視野が広いからこんな写真も撮れます。

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星雲のカラー写真。たしかこれは後からの加工じゃなくて、本当にカラーで撮影に成功したというとっても珍しい写真なんですよと説明していただいた記憶。(怪しいです)

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実際にはとっても広い視野を持つシュミット望遠鏡なんですが、それを十分に生かせる撮影装置がまだないそうです。特にデジタルになってからはかなり狭いところしか撮影できておらず、撮影時の視野を広げる広視野カメラの開発が進んでいるんだそうです。
で、えーっと、たしかこの写真の右側がアナログ時代の写真乾板、左側がCCD…だったと思います…。

1か月でこんなに記憶はあちこち曖昧になってしまうのか…大丈夫ですかこのレポート…。

さて(無理矢理気を取り直す)、この望遠鏡は完全な遠隔操作が可能で、望遠鏡の前にいなくていいばかりか、この付近にいる必要すらないのだそうです。実際、東京など遠く離れたところで観測結果を管理していることが多いんですって。
ただ、そうすると不測の事態が起きたときに困りますよね。雨とか。
そこで、望遠鏡にさまざまなセンサーをつけて、不測の事態になるべくすぐ気づくように対策しているのだそうです。

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これがそのセンサーの一つ。雨や風などに反応するんですって。

この後は最初の教室に戻って、今度は星雲の講義。
星雲にはどんなものがあるのかを今度は小林仁美先生から教えていただきました。
…が、このあたりでくまぼぼの集中力とコンタクトレンズの潤いが完全に尽きました…前がほぼ見えない。

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(バラ星雲への愛情の話以外すり抜けてしまいました…申し訳ありません…)

この後館内案内していただいたり休憩したり(休憩の合間に仕事したり)みんなで夕食という合宿っぽい素敵時間があったりしたのですが、このあたりは写真もないのでさらっと流します。(おいしかったです!)

さあ、いよいよ空を見に行きましょうか!

つづく

明日も幸せである様に♪

2014年12月20日 (土)

数百万年前への旅(3)

前回から相当空いてしまいましたが、快晴の中ついに施設に到着…というところまで書いたのでした。

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今回お邪魔したこちらは、「東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター 木曽観測所」という場所です(ぜえぜえ)以降、木曽観測所とまとめます!

その最大の特色と言えるのが

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この中に入っている、「シュミット望遠鏡」です。
しかし、シュミット望遠鏡って何?何がすごいの?さっぱりわからない(上に予習もしなかったダメな)くまぼぼのために、まず解説がありました。

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【写真提供:アストロアカデミア様】

先頭の席で真面目なふりをして話を聞きながら実はよく理解していない(ひどい…)のがくまぼぼですが、ご説明いただいているのはこのツアーを企画してくださったアストロアカデミアの池田優二先生。お会いするのはこの日が初めてだったけど、本当に幅広く(天文以外のことも)何でもご存知なうえに一つ一つの知識も深く、それでいて驚異的なほど説明がわかりやすい。こんな方がいらっしゃるんだわ…と一晩中びっくりしていました。

でシュミット望遠鏡って何?ってことなんですが、要は「シュミットさんが作った望遠鏡」です笑。
普通、望遠鏡というのは遠くまで見えるようにしようとすると、その分視野が狭まります。たとえばハッブル宇宙望遠鏡(口径2.4m)では、視野わずか3分(1度の60分の1が1分です)。口径の大きいすばる望遠鏡(口径8.2m)の視野は30分と約100倍になりますが、これでようやく月ひとつがまるっと入るくらいです。腕をめいっぱい伸ばしたときに見える小指の爪くらいの広さ。これらの望遠鏡の主な役割は暗い天体を検出したり、すでに見えている天体をさらに詳しく調査したりすること。
一方、シュミット望遠鏡の視野は、なんとなんとの6度。もちろんハッブルやすばるほど遠くの天体をくっきりバッチリ見ることはできないですが、視野の広さを生かして未知の天体を探し出すことなどに特化しているわけです。
(以上、説明が間違っていたらご指摘ください…>アストロアカデミア様)

視野が広い上に広がった淡い天体が得意なシュミット望遠鏡なら

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こんな写真も撮れてしまいます!!!きゃー!
(このポスター、木曽観測所の方にお土産でいただいてしまいました。嬉しすぎて仕事部屋に貼っています。テンションアップ!!)

ではいざ、シュミット望遠鏡を見に行きましょうぞ!

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外に出るとすっかり寒い時間帯。…ではなく、非常にわかりづらいんですが、遠くの方の白いの、御嶽山の噴火です…。木曽観測所からこんなに近かったのか。
自然は怖いって思う。噴火や地震や台風が起きた時はもちろんだけど、私は生まれて初めて満天の星空を見たとき、あまりの怖さに泣きそうになった。吸い込まれそうな空とつながっている地面。自分は小さいって思った。その一方で美しさに魅せられて何十年とたってもこうやって星を見に来てしまうんだけど、それでもどこかに自然への畏怖は染みついている。忘れちゃいけない、とも思っている。

はっ、シュミット!

さっきのドームの中に入ると

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どーん!これがシュミットです!…わからなーい!
小さなドームめいっぱいに入っているので、距離がとれず全体像を収めることができなかったのです…。

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上にも上がらせてもらいました。この方がわかりやすいかしら。

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中ものぞかせてもらいました。ロボットが何か(なんだっけ…レンズ交換…?)している様子。

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コクピット!かっこいい…。今は遠隔操作になって、ここは使われていないそうです。

長くなってきたのでここでいったん切ります…。

つづく

明日も幸せである様に♪

2014年11月25日 (火)

数百万年前への旅(2)

数百万年前にも星空にも全然たどり着けない(またか)日記は続きます。

今回行ったのは老舗のお蕎麦屋さん。
くるまやといって、創業300年を超える名店です。予約していただいたら、予約した人専用入り口(下の写真ののぼりがあるあたり)から入らせていただきました。特別感…!

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中山道が栄えた江戸時代にも、旅人はきっとここでお蕎麦を食べていたのね。
皇族もいらしたことがあるそうです。

この旅をナビゲートしてくださった先生がびっくりするくらい博識な方だったんだけど、このお店のこともよくご存知だった。
有名なのはざるそばともりそば(ちなみにざるともりの違いって、海苔が乗っているかどうかなんですってね。知らなかった!)だけど、お蕎麦の味を感じたい人はもりそばの方がおすすめとのこと。ふむふむなるほど。

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まったくアドバイス聞いてないですこの人!!
だって、地鶏そばなんて…注文しないわけには…。ごめんなさい…。

見かねた隣の席の方が、もりそばを一本味見させてくださった。
びっくりするほど蕎麦が香っている!口の中でも存在感たっぷりの香り。そして食感はもちもち。今まで食べてきたお蕎麦とは全然違いました。すごい!

そのあとで温そばを食べると、確かにあの食感と香りがだいぶ飛んでしまっている。良さを知りたいならアドバイス通りもりそばの方がよさそうです。しかし地鶏も超絶おいしかったので、後悔はしていませんが!
(実はいいとこどりの「地鶏ざるそば」というのもあった。隣の人が注文していたんだよね…あっちにすればよかったか…よよよよ←女々しい)

贅沢で幸せなランチも終わり、コンビニで少し待機。

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(つくづくいまいちな写真ですが、こんなのでも載せておかないと本当に写真がないのです…涙)
本当は前日くらいまで、この日の天気予報は微妙だった。たまには晴れ間が見えればいいなあくらいの天気だったはずなのに、何でしょうこの快晴さ。この天気が夜中まで持ったりするんだろうか。まさか、この「夜だけ曇り女」のくまぼぼにそんな日が訪れちゃうんだろうか。

期待半分不安半分(本当は不安7割くらい)の中、人数がそろったのでいよいよ施設に移動。レンタカーで走ること数十分。

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ついに到着です!

つづく

明日も幸せである様に♪

2014年11月24日 (月)

数百万年前への旅(1)

この土日、長野県の木曽福島まで星空を見に行ってきました。
びっくりするほどの好天と大量の流れ星と地震と筋肉痛と盛りだくさんすぎる2日間。
15年ぶりくらいの機会にドキドキしていたけれど、本当に行ってよかった。

この日のために購入したかったカメラを逃したのとあまりブログのことを考えずにふわふわ旅していたせいで肝心の写真がかなり不足気味だけれど、がんばって文章で補足します。
久しぶりに長めのシリーズになる予定。いきます!

***

そのお誘いがあったのは9月24日。いつも天文関係でお世話になっているアストロ・アカデミア様からメールをいただいたのでした。
木曽福島の「東京大学木曽観測所」でシュミット望遠鏡という口径1mの望遠鏡を見学して、夜は星空観望と懇親会というスケジュール。おそばや観光もあるんですって。
もう最初のお知らせから盛りだくさんでワクワクする企画。
ずっと続く予定だった大型案件が11月は小休止とも聞いていたし、これはぜひともいかねば!
土日に会えないとしょんぼりする人を無理矢理説き伏せてついに参加申し込み。

防寒具だけで旅行鞄2個を埋め尽くして、さあ出発!と思ったら、今年3番目くらいの仕事ラッシュ到来(もはや恒例)
旅行鞄を整理しなおしてレッツノートちゃんのスペースを作る。一緒に行こうねノートちゃん。
(しかし、結局電車では早くも多治見でWiMAXがつながらなくなり、いまいち仕事は進まなかったのであった)

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電車から見える景色はあっという間に変化する。

名古屋を出てから1時間半。

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木曽福島駅に到着しました。
2日前くらいまでは曇り気味の天気予報だったのに、感動的な観光日和。

はじめましての皆さんに挨拶してから、まずはお昼ご飯のお店に移動です。

つづく。

明日も幸せである様に♪